
Grabado Flores del camposanto GD002
Size: 30 x 40cm
本作は、メキシコの死生観を象徴する存在として広く知られる骸骨の女性を主題とした木版画である。マリーゴールドの花を手にしたその姿は、不気味さや恐怖といった印象からは遠く、むしろどこか親しみやすく、そしてユーモラスな空気をまとっている。Armadillo Gráfico工房に属するFredy Ramirezの作品。リノカットと呼ばれるリノリウム板を彫刻刀で彫り、インクをのせて紙に刷る凸版画の手法で作成された
本作の背後にあるモチーフは、「カトリーナ(La Catrina)」と呼ばれるキャラクターである。その原像は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活動したメキシコの版画家ホセ・グアダルーペ・ポサダによって創出されたものであり、華美な帽子や衣装に身を包んだ骸骨の女性像として描かれた。当初は、上流階級の虚栄心や社会的階層を風刺する意図で生まれたが、やがて「死はすべての人に等しく訪れる」という普遍的な真理の象徴として広く親しまれるようになった。
カトリーナは、死を畏れる対象としてではなく、「死をも笑い飛ばす」民衆の精神を体現する存在である。死は終わりではなく、人生の延長であり、故人と再会し、語り、共に食事を楽しむ場へとつながる扉であるとメキシコの人々は考える。そのため、骸骨というモチーフは華やかに彩られ、祝祭の一部として命の循環を肯定する象徴となる。
題名の『Flores del camposanto』とは『墓地の花々』という意味なの通り、この作品に込められたメキシコ的死生観は、死を忌避し、穢れとして遠ざけがちな日本の伝統的価値観とは著しく異なるものである。だからこそ、本作は観る者に新たな視座をもたらし、生と死の境界についての思索を促す。
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Grabado Flores del camposanto GD002
セール価格¥22,000
